アスベスト基礎知識

アスベストのばく露による癌!仕事が原因の病気への対応はどうなってるの?

アスベストは、かつて断熱材や耐火材として広く使用されていましたが、発がん性が認められ現在では使用が禁止されています。

アスベストを吸い込むと、中皮腫や肺がんなどの発がんリスクが高まる可能性もあり、潜伏期間が長いのが特徴です。数十年後に発症することもあるので、現在または過去にアスベストに関する仕事に従事している人はとても不安に思われているでしょう。

そこでこの記事では、アスベスト被害による癌の早期発見・早期治療を目的とした検診制度の利用やアスベスト被害による補償などを詳しく知り、適切な対応をしていきましょう。

アスベストとは

アスベストとは、天然に産する繊維状のケイ酸塩鉱物です。繊維が非常に細いため肺に侵入し肺がん、中皮腫などの健康被害を引き起こす可能性があります。

アスベストは、耐熱性、断熱性、防音性、絶縁性などの優れた性質があるため、建材や自動車部品、電気製品など、さまざまな製品に使用されてきました。しかし、健康被害のリスクが明らかになったことから、現在の日本では使用が禁止されました。

アスベストが使用された建物や工作物は、現在でも全国に数多く残っていて、これらの建物や工作物が劣化すると、アスベストが飛散する危険性があります。そのため、アスベストの飛散を防ぐための除去や封じ込めなどの措置が必要です。

アスベストが原因による健康被害について

アスベストによる健康被害について、代表的な3つの疾病を解説します。

アスベスト肺

アスベスト肺は、アスベストの粉塵を大量に吸い込むことで、肺に炎症が起こり肺が線維化する病気です。

アスベスト肺の症状は、息切れや咳、痰が多くみられます。また、肺の機能が低下するため、階段の上り下りや運動が困難になることもあります。アスベスト肺は、発症までに15年~20年程度の潜伏期間があるため、過去にアスベストの粉塵を吸い込んだことがある人でも、発症する可能性があります。

アスベスト肺の治療法としては、酸素療法やステロイド剤の投与などがありますが、完治することはありません。

肺がん

アスベストによる肺がんは、アスベストの粉塵を吸い込むことで物理的刺激により発症します。また、喫煙することで肺がんの発症リスクが高まります。

肺がんの症状は、咳や痰、血痰が見られますが、自覚症状がなくX線やCT検査の異常で発見されることもあります。

悪性中皮腫

中皮腫は肺を取り囲む胸膜、胃や肝臓などの臓器を囲む腹膜、心臓および大血管の起始部をおおう心膜などにできる悪性の腫瘍です。

発症までに20~50年もの潜伏期間があり、早期発見が難しいのが特徴です。初期症状は、胸痛や咳、胸水の貯留などがあります。

治療法としては、外科療法や抗がん剤治療、放射線治療などがあり、これらの治療で長期生存が期待されるようになってきました。

アスベストによる健康被害に関する社会保障制度

社会保障制度はどのように整備されているのか解説します。

健康診断と健康管理手帳の交付

アスベスト被害による疾病は、アスベストにばく露された後15~50年程度の潜伏期間を経て発症することがあります。そのためアスベストにばく露された可能性のある人は、事業者の責任において6カ月以内ごとに定期的に健康診断が実施されています。

健康診断の内容は、血液検査、胸部レントゲン検査、胸部CT検査などです。これらの検査は、肺がんや中皮腫などの早期発見や早期治療につなげるためのものです。

また、アスベストにばく露された可能性のある人は、健康管理手帳の交付を受けることができます。健康管理手帳の交付を受けると、指定された医療機関で年2回(じん肺は年1回)無料で健康診断を受けることができます

健康管理手帳の交付を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
⚫︎アスベストを製造、または取り扱う業務、アスベストの粉じんを発散する作業場等に従事していたこと
⚫︎アスベスト作業の周辺業務に従事していたこと

労働災害の補償

アスベストによる労災の補償は、労災保険によって行われます。労働者が業務上の事由でアスベストを吸入して、中皮腫、肺がん、アスベスト肺などのアスベスト関連の疾患にかかった場合、労働基準監督署で労災認定を受ければ、以下の給付を受けることができます。

⚫︎療養給付:治療費や入院費などの補償
⚫︎休業補償給付:療養のために休業した場合の生活補償
⚫︎障害給付:障害が残った場合の補償
⚫︎遺族補償給付:労働者が死亡した場合の遺族への補償

アスベスト被害の労災認定は、労働者が業務上アスベストにさらされたことを証明する必要があります。そのため、過去にアスベストにさらされた可能性がある労働者は、労働基準監督署に相談することが大切です。

労働災害による救済の対象外となった人への対策

アスベスト被害により発病したにもかかわらず、救済の対象外となった人への救済策として「石綿健康被害救済法」が2006年に制定されました。

石綿健康被害救済法に基づく救済給付の対象者は以下の方です。
⚫︎アスベストが原因で指定の病気(中皮腫、アスベスト肺、肺がん、びまん性胸膜肥厚)を発症し、現在療養中の方
⚫︎指定の病気により亡くなった方のご遺族

石綿健康被害救済給付についての詳細は、独立行政法人環境再生保全機構のホームページをご参照ください。

まとめ

アスベストは、肺がん、アスベスト肺、悪性中皮腫などの重篤な健康被害を引き起こす危険な物質です。日本では、2006年にアスベストの使用が全面禁止されましたが、依然としてアスベストによる健康被害が続いています。

アスベストの健康被害は、ばく露から10年から50年程度の潜伏期間を経て発症することが多いため、被害の拡大を防ぐためには、ばく露の防止と健康被害の早期発見・早期治療が重要です。

アスベストのばく露防止については、事業主に対しばく露防止対策の実施と労働者への健康教育を行うことが義務付けられています。また、退職者に対しては、健康管理手帳の交付や、定期的な健康診断の実施などが支援されています。

今後もアスベストの健康被害を防ぐためには、ばく露防止の徹底と健康被害の早期発見・早期治療の支援が課題となるでしょう。

 

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