アスベスト基礎知識

木造住宅にアスベストは使われているのか?危険性と調査・解体方法を解説!

木造住宅は、日本では最も一般的な住宅形態です。しかし、1980年代以前に建てられたものにはアスベストが使用されている可能性があります。

アスベストは、強度や耐久性に優れた材料として、かつては幅広く使用されていましたが、健康被害につながることが判明し、現在では使用が禁止されています。

アスベストが使用された木造住宅に住んでいる場合、劣化により粉じんが飛散する可能性があるため、アスベストの有無を調査し、必要に応じて適切な措置を講じたいと思っている人も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、木造住宅にアスベストが使われているのか、その危険性、調査方法、解体方法について解説します。木造住宅にお住まいの方は、ぜひ参考にしてくださいね。

木造住宅にアスベストは使われているのか?

日本では、1987年にアスベストの使用が禁止されるまで、幅広く使用されていました。そのため、1980年代以前に建てられた木造住宅には、アスベストが使用されている可能性が高いと言えます。

木造住宅に使用されているアスベストは、主に屋根材、外壁材、内装材などに多く、その繊維が非常に細く、空気中に飛散しやすいため、健康被害のリスクが高くなります。

そのため、アスベストが使用されている木造住宅に住んでいる場合、もしアスベストの使用が疑われる箇所を見つけたら、専門の業者に調査を依頼しましょう。

アスベストの危険性

アスベストは、その繊維が非常に細く、空気中に飛散しやすいため、健康被害のリスクが高くなります。アスベスト粉じんを吸入すると、肺や体内に沈着し、炎症やがんを引き起こす可能性があります。

アスベストによる健康被害は、長年のばく露によって発症するケースが多いため、アスベストを使用した建物や製品に長期間接している人は、注意が必要です。

[アスベストによる主な健康被害]
アスベストによる主な健康被害は、肺がん、中皮腫、石綿肺、悪性胸膜中皮腫、悪性腹膜中皮腫などで、発症すると治癒が難しいため予防が重要です。

木造住宅のアスベストの使用箇所

アスベストはおもに屋根材、外壁材、内装材などに使用されており、1970年代から1980年代にかけて多く使用されている可能性があります。

屋 根

木造住宅の屋根材として、アスベストを使用したスレートや瓦が使用されていました。

アスベストが使用された屋根材には、以下のようなものがあります。
⚫︎スレート:コロニアル、セメント瓦
⚫︎:カラーベスト、石綿瓦

アスベストが使用された屋根材は、その耐久性やコストパフォーマンスの良さから広く使用されていました。

外 壁

木造住宅の外壁材として、アスベストを使用したスレートやサイディングが使用されていました。

アスベストが使用された外壁材には、以下のようなものがあります。
⚫︎スレート:波板スレート、モニエル板
⚫︎サイディング:アスベストモルタルサイディング、アスベスト板サイディング

内 装

木造住宅の内装材として、アスベストを使用した床材、壁材、天井材、断熱材、保温材、防音材などが使用されています。

アスベストが使用された内装材には、以下のようなものがあります。
⚫︎床材:Pタイル、ビニールシート等
⚫︎壁材:ケイ酸カルシウム板、石綿セメント板
⚫︎天井材:ケイ酸カルシウム板、石綿セメント板
⚫︎断熱材:アスベスト含有ロックウール
⚫︎保温材:アスベスト含有ロックウール
⚫︎防音材:アスベスト含有ロックウール

アスベストが使用された内装材は、その耐久性や施工性の良さから、広く使用されていました。

木造住宅のアスベスト調査

木造住宅のアスベスト調査には、目視調査、非破壊検査、破壊検査の3つの方法があります。

目視調査

目視調査は、最も基本的な調査方法であり、アスベストが使用されている可能性がある箇所を、目で見て確認する方法です。

目視調査では、以下の点に注意して確認します。
⚫︎建物の築年数:アスベストの使用が禁止されたのは1987年なので、1970年代から1980年代に建てられた木造住宅には、アスベストが使用されている可能性が高い。
⚫︎建物の外観:屋根材や外壁材の種類や状態を確認する。
⚫︎建物の内部:内装材の種類や状態を確認する。

目視調査では、アスベストの使用が確認できない場合でも、アスベストが使用されている可能性は残ります。そのため、目視調査でアスベストの使用が疑われた場合は、非破壊検査や破壊検査などの追加調査を行う必要があります。

非破壊検査

非破壊検査は、アスベストが使用されている可能性のある箇所を、建物を傷つけずに確認する方法です。

非破壊検査には、以下の方法があります。
⚫︎赤外線検査:アスベストを含む建材は、赤外線の反射率が異なるため、赤外線カメラを使ってアスベストの有無を判断します。
⚫︎超音波検査:アスベストを含む建材は、超音波の伝達速度が異なるため、超音波探触器を使ってアスベストの有無を判断します。
⚫︎磁気検査:アスベストを含む建材は、磁気を帯びているため、磁気探触器を使ってアスベストの有無を判断します。

非破壊検査は、目視調査では確認できないアスベストの使用を、高い確率で検出することができます。しかし、完全にアスベストの有無を判断することはできないため、追加調査の必要性については、調査業者と相談する必要があります。

破壊検査

破壊検査は、アスベストが使用されている可能性のある箇所を、建物を傷つけて確認する方法です。

破壊検査には、以下の方法があります。
⚫︎切断検査:アスベスト含有建材を切断して、アスベストの有無を顕微鏡で確認します。
⚫︎削り取り検査:アスベスト含有建材を削り取って、アスベストの有無を顕微鏡で確認します。

破壊検査は、目視調査や非破壊検査では判断できないアスベストの使用を、完全に判断することができます。しかし、建物を傷つけるため、費用が高額になる場合や、工事に時間がかかる場合があります

木造住宅のアスベスト解体

木造住宅のアスベスト解体には、以下のことを守り適切に処理することが大切です。

解体作業の流れ

木造住宅のアスベスト解体は、以下の流れで行われます。

1.事前準備
⚫︎アスベストの調査結果に基づいて、アスベストの使用が確認された箇所を特定する。
⚫︎作業計画を作成する。
⚫︎作業に必要な資機材や人員を確保する。
⚫︎周辺住民に作業の説明を行う。

2.解体作業
⚫︎アスベスト含有建材を湿潤化しながら、粉じんの飛散を防止して解体する。
⚫︎解体した建材を密閉袋に収容して、適切に処理する。

3.後片付け
⚫︎作業現場を清掃して、粉じんの飛散を防止する。

解体費用

木造住宅のアスベスト解体費用は、以下の要素によって異なります。

⚫︎建物の規模:建物の規模が大きいほど、費用が高くなります。
⚫︎アスベスト含有建材の量:アスベスト含有建材の量が多いほど、費用が高くなります。
⚫︎解体作業の難易度:解体作業の難易度が高いほど、費用が高くなります。

一般的に、木造住宅のアスベスト解体費用は、1坪あたり3万円~4万円程度と言われています。ただし、上記の要素によって、費用は大きく変動します。

解体に伴う注意点

木造住宅のアスベスト解体は、専門の業者に依頼することが重要です。業者を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。

⚫︎アスベスト解体の実績が豊富な業者を選ぶ。
アスベスト解体の実績が豊富な業者は、解体作業のノウハウや安全対策を熟知しています。

⚫︎作業に必要な資格や許可を保有している業者を選ぶ。
アスベスト解体作業を行うには、国家資格である「アスベスト作業主任者」の資格が必要です。また、解体工事の許可も必要です。

⚫︎作業計画や費用を明確に提示してくれる業者を選ぶ。
作業計画や費用を明確に提示してくれる業者は、透明性があり、安心して作業を任せることができます。

また、解体作業を行う際には、粉じんの吸入を防ぎ、作業現場から粉じんが飛散しないように、窓やドアを閉めて、換気をしないでください。また、作業後も粉じんの付着を防ぐため、洗顔やうがいをしましょう。

木造住宅のアスベスト解体は、専門の業者に依頼し、作業に伴う注意点を守ることで、安全に行うことができます。

まとめ

1987年以前に建てられた木造住宅には、アスベストが使用されている可能性があり、重大な健康被害を引き起こす可能性があります。そのため、アスベストが使用されている可能性がある木造住宅については、早めに調査を行い、必要に応じて解体を行うことが大切です。

アスベストの解体の際は、アスベスト解体の実績が豊富、作業に必要な資格や許可を保有している、作業計画や費用を明確に提示してくれる専門業者に依頼し、作業に伴う注意点を守ることで、安全に行うことを心がけましょう。

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