アスベストの危険性にともない、アスベストに関する法令(大気汚染防止法)は、2021年から段階的に3回の法改正がされています。
今回の2023年10月の法改正では、解体・改修工事にかかわる際には、専門知識のある有資格者による調査報告が義務化されます。それ以外にも改正項目があるので、細かい改正部分を詳しく知りたいという人も多いのではないでしょうか?
そこで、この記事では法改正による事前調査から報告まで、細かくわかりやすく解説していますので、最後まで読んで知見を深めてくださいね。
大気汚染防止法の施行内容
2020年に建設型アスベスト被害について国が責任を認めたことから、大気汚染防止法も年々規制が厳しくなっています。以下は、これまでの経緯を解説します。
《2021年》
⚫️制対象建材の拡大
⚫️石綿含有建築物の解体・改修工事においての事前調査方法の法定化
⚫️作業記録の作成・保存の義務化
《2022年》
⚫️石綿事前調査結果報告システムによる調査報告の義務化
《2023年》
⚫️建築物石綿含有建材調査者による調査報告の義務化
2023年10月の法改正にともなう4つのポイント
法改正により、大きく変わる内容を4つ解説します。
アスベスト建材の規制対象の拡大
アスベスト含有の建材は、以下の3つにレベル分けされています。
《レベル1》石綿含有吹付け材
《レベル2》石綿含有断熱材・石綿含有保温材・石綿含有耐火被覆材
《レベル3》石綿含有建材(成形板・仕上げ塗材)
2023年10月の法改正により、従来規制の対象外だったレベル3も調査報告義務が必要となることで、一般戸建住宅もアスベスト法の対象となりました。そこで以下の建材が対象となります。
アスベスト改正法にともない規制対象となる調査箇所は以下のとおりです。
⚫️化粧スレート屋根
⚫️窯業系サイディング材
⚫️ケイカル板
⚫️石綿含有仕上げ塗材
事前調査の評価が厳しくなる
法改正の前までは、無資格者でもアスベスト調査をすることが可能でしたが、改正後は、建築物石綿含有建材調査者の調査報告が義務付けられました。
《建築物石綿含有建材調査者とは》
⚫️特定建築物石綿含有建材調査者
⚫️一般建築物石綿含有建材調査者
⚫️一戸建て等石綿含有建材調査者
また、アスベスト事前調査の方法についても以下のとおり法改正されました。
《書面調査》建築時・リフォーム時の書類チェック
《目視調査》工事着手前の目視による現場チェック
《分析調査》機器などを使用した目視よりも詳細な分析調査
《報告方法の統一化》一定規模以上の場合、都道府県(行政)機関へ電子システムを使った報告が義務化
《調査記録の保管義務》調査から3年間の記録保管の義務化
法令遵守の徹底
アスベスト法改正で規制された事柄を守らなければ、元請業者だけでなくオーナーにも罰則が発生することになるので細心の注意が必要です。
⚫️報告義務対象物件の事前調査結果を報告しない
⚫️虚偽の報告
⚫️事前報告調査結果報告の義務違反
上記の違反があった場合は、30万円以下の罰金が課せられます。
アスベスト除去作業記録の保管が義務化
事前調査の報告義務に加え、作業記録の作成と記録の保管も義務付けられました。
また、すべてのアスベストレベルは写真にて記録をとることが必要です。
事前調査から報告までの一連の流れ
元請業者が事前調査を行う際の流れを確認しましょう。
①書面調査
建設当時の施工図・設計図などをもとに書面調査を行います。
↓
②目視確認
書面への記載が曖昧、または書類自体がない場合は、目視による現地調査が義務付けられています。
↓
③分析
アスベスト含有が不明な場合は、分析が義務付けられているので、分析会社に依頼します。分析結果は大切に保管しましょう。
↓
④報告書作成
事前調査の報告は所轄の労働基準監督署に、また環境省が管轄する大気汚染防止法に基づく報告は、地方公共団体に提出します。
※オンラインで石綿事前調査結果報告をすれば、一度の操作で労働基準監督署と地方公共団体の両方に提出が可能です。
まとめ
ここまで、2023年10月よりアスベスト法改正について、さまざまな改正項目を見てきましたがいかがでしたか?
2023年10月1日以降に解体・改修工事を行う場合、決められた資格保有者のみアスベストの事前調査を行うことができなくなるので、早めの資格取得がおすすめです。
また、今回の改正ではルールを逸脱すると、オーナーにもペナルティが課せられるので、事前調査から報告までの流れをしっかり把握して、不備のないよう工事を進行していきましょう。
下記ページでは全国で対応してくれるおすすめ業者を紹介しております。
当サイトでは、アスベスト等のアドバイス・業者紹介等、各種アドバイス行っております。
ご気軽にお問合せください。