耐火性、断熱性、防音性など多くの機能にすぐれ「夢の材料」ともてはやされたアスベスト含有の断熱材ですが、健康被害などが報告され現在では使用が禁止されています。
今ではアスベストに変わる安全な断熱材も製造されていますが、見分けがつきにくく、解体の際には法律に基づいた対応が必要です。 しかし、アスベストが使用されているか、使われた時期などが不明な場合は判断がつきにくく、対応がわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、アスベスト含有の断熱材の種類や使用箇所、危険性や法的な処理についても解説します。それらを把握し、アスベストを正しく処理しましょう。
アスベスト含有の断熱材の種類について
アスベスト含有断熱材のおもな商品を紹介します。
煙突用断熱材
⚫︎ハイスタック(丸型・角型)
⚫︎カポスタック
⚫︎ニューカポスタック
設計図などに上記商品名の記載がない場合は、年代不明の建材が使用されている可能性があるため注意が必要です。また、煙突用断熱材は90%を超えるアスベスト含有の建材もあるため、調査時はアスベストのばく露対策を考慮する必要があります。
折板屋根裏断熱材
⚫︎フェルトン
⚫︎ブルーフェルトン
⚫︎レアフォーム
上記の商品の製造時期は1958年〜1991年頃までで、駐車場や体育館などの金属屋根の折板の裏打ち断熱材として使われていました。
フェルトンのアスベスト含有率は90%と高く、煙突用断熱材と同じく調査時はアスベストのばく露対策を考慮する必要があります。
アスベスト含有の断熱材の危険レベルや処理対応について
アスベスト含有建材は、発じん性の度合いで1〜3のレベルに分類され、断熱材はレベル2に該当します。
アスベスト含有の断熱材の危険性
密度が低く、非常に軽いため破損や切断などによりアスベストがかなり飛散するので、発じん性も高く、解体・改修工事の際は注意が必要です。
アスベストの法律に基づいた処理方法
アスベスト含有の断熱材は、レベル2に該当します。レベル1ほどではないが、発じん性が高く危険です。
レベル2の建材を処理する場合は、書類の作成や提出が必要で、解体・改修工事の際には保護衣の着用などが必要です
アスベストとグラスウール・ロックウールの見分け方
アスベストとグラスウール・ロックウールは断熱材としての機能性は高く、見た目も相違ないため見分けるのも難しい建材です。現在ではアスベストに変わり、安全な材料としてグラスウールやロックウールが多く使われています。
※1989年以前のロックウールにはアスベストが使われていたものもあるので注意が必要です。
材質に関しての見分けはとても難しいので、有資格者による分析が必要です。専門の調査会社に依頼し適切な対応を行いましょう。
アスベスト使用箇所や建材の種類について
アスベストが使われている場所や種類などを詳しく解説します。
建築物のアスベスト使用箇所
アスベストは、気密性も高く断熱性・保温性・吸音性、不燃性にも優れ、しかも軽く、価格的にも安価な材料でした。そのため学校、講堂、病院など公共施設や耐火構造物の屋根や天井、壁などに多く使われています。
また、一般的な住宅でも屋根材や天井材、床材などに使われている可能性もあるので、用心が必要です。
アスベスト含有製品の種類
①石綿含有保温材
珪藻土保温材・パーライト保温材、バーミキュライト保温材などがあります。おもにボイラー本体や配管、化学プラントの保温に使用されています。
②石綿含有摩擦材
クリソタイルや石綿布を樹脂で固めたもので、おもに自動車や産業用のブレーキパッド、クラッチフェーシングなどに使用されています。
③石綿セメント製品
セメントと石綿は融和性がよく、特に多くの製品が製造されています。おもにパイプ状の製品で、煙突、排気管などの低圧管や上下水道用の高圧管などに使用されています。
④シール材・ジョイントシート
タンクやパイプラインをつなぐ際にパッキングするシール材やガスケットなどのジョイントシートで、ゴムと石綿を主原料としています。
⑤石綿紙・石綿リボン
石綿紙はビニール床タイルの裏打ち材、電気絶縁材、ソーダ用で隔膜に、石綿リボンは歯科技工に使用されています。
⑥その他石綿含有建材製品
鉄骨などの吸音、結露防止材、内装・外装材など用途はさまざまです。
また、石綿とセメントに水を加えて混ぜ、特殊機械で吹き付ける工法の吹きつけ石綿があります。この吹きつけ石綿は、アスベスト含有の材料の中ではもっとも危険な材料です。
アスベスト含有材料の見分け方
建築年数が目安
築年数を確認すれば、アスベスト含有材料が使われている可能性が予測できます。
⚫︎吹付けアスベスト…1956〜1975年頃まで
⚫︎吹付けロックウール…1975〜1990年頃まで
⚫︎塩化ビニール石綿床タイル…1955〜1989年頃まで
⚫︎石綿含有摩擦材…2004年以降輸入禁止
材質に関しての見分けはとても難しいので、有資格者による分析が必要です。専門の調査会社に依頼し適切な対応を行いましょう。
アスベストの危険性レベルについて
アスベストは天井材、床材、壁材などに多く使用され、その発じん性により危険性のレベルが分類されています。
レベル1
吹付けアスベストは露出しているため、劣化により飛散の可能性があり、発じん性がもっとも高いため早急な対応が必要です。
老朽化した建物の場合は、吹付け材の有無、天井壁の破損、劣化の進行状況などの調査が必要です。
レベル2
経年劣化での飛散はほとんどないが、破損によるアスベストの飛散の可能性があるため、レベル1と同等の対応が必要です。
レベル3
板状に固化してあるので飛散の恐れはないが、穴を開けたり切断した場合は飛散の可能性があります。
アスベスト法改正について
2022年4月1日からアスベストの有無に関わらず「事前調査結果の報告」が義務化され、解体・改修工事の際にはすべての建築物が報告の対象となります。
まとめ
1990年頃までは、機能性が高いうえ安価なアスベスト含有建材が多く使われていましたが、健康被害が確認されたことで、使用禁止となりました。学校、病院などの公共施設はもちろん、一般的な住宅の天井や床、壁などにも使われています。したがって解体・改修工事については、法律に基づいた処理や対応が必要です。
アスベストは、素人では見分けがつきにくいため、専門家に依頼し適切な対応を任せることをお勧めします。
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