アスベストは石綿とも呼ばれている繊維状の鉱物で、耐熱性や絶縁性に優れていることから、かつては建材や断熱材に広く利用されていました。
しかし、吸入すると肺がんなどの疾病を引き起こすことがわかり、現在は使用が規制されています。
アスベストが含まれている建物の除去工事は専門業者に依頼しなくてはならないため費用がかさみますが、国や自治体から補助金を受け取ることができます。
本記事では、神奈川県の自治体が実施しているアスベスト解体工事補助金について、申請条件や申請方法などをまとめました。
ご自身の建物に該当する補助金がないかチェックしてみてください。
アスベスト対策の助成金の種類
アスベストに関する補助金には、アスベスト含有の有無を調べる調査費用を支援するものと、アスベストの除去工事費用の一部を負担するものの2種類が存在します。
国の実施している助成制度では、補助対象となる要件や助成額は次のように定められています。
アスベスト含有調査の助成金
補助対象となる条件
以下の素材が含まれている可能性のある住宅・建築物
- 吹付けアスベスト
- アスベスト含有吹付けロックウール
- 吹付けバーミキュライト
- 吹付けパーライト
補助金額
上限:1棟あたり25万円
アスベスト除去工事の助成金
補助対象となる条件
下記の素材が使用されている住宅・建築物
- 吹付けアスベスト
- アスベスト含有吹付けロックウール
補助金額
アスベスト除去工事にかかる費用の3分の2(各自治体の補助額には上限があります。)
おおまかな申請方法
①自治体へ事前相談に行く
②各自治体で定められている書類を提出し、助成金交付を申請する
※見積書は2社以上必要な自治体もあります。
③交付決定
※この時点ではまだ振り込まれません。
④工事請負契約(工事会社と契約)と届け出の提出
⑤アスベスト事前調査(含有の有無、レベル1~3の数値)
⑥除去・解体工事、周辺の民家への説明や挨拶
⑦完了実績報告書の提出
⑧補助金確定通知書
⑨補助金交付請求(領収書や補助金確定通知書)
⑩指定口座に助成金が振り込まれる
神奈川県の助成金の詳細
横浜市
補助要件
多数の方が利用する民間建築物
店舗、事務所、駐車場、工場、倉庫など
共同住宅の場合は共用部分のみ(機械室なども対象に含みます。)
補助額
アスベスト含有調査:無料で実施
アスベスト除去工事:費用の2/3まで かつ上限300万円
必要な書類
案内図、現況平面図
現況写真(建物外観、吹付け建材使用場所)
建築確認通知書及び検査済証の写し
吹付けアスベスト等であることを証明できるもの(分析調査結果等)
建物の所有権を証する書類
入札書又は3社以上の見積書
事業計画の策定を行う者が建築物石綿含有調査者等であることが判断できるもの
本人確認ができる書類の写し(免許証、保険証等)
申請方法の詳細
以下の建物は対象外になります。
個人の住宅
除却を予定している建築物
吹付け建材以外の建材の調査及び除去等(屋根材に使われる形成板、外壁の仕上塗材等)
期間
令和6年度の事業予算が終了し次第、申請の受付を終了
連絡先
建築局企画部建築防災課 電話:045-671-2928
川崎市
補助要件
アスベスト含有吹付け材が施工されているおそれのある民間建築物で、以下の要件を満たすもの
1.平成18年9月30日以前に建築確認を得て着工されたもの。
2.吹付けアスベスト等が露出して施工されているもの。(ただし、天井内等であっても、点検口や通気口があり、空気の出入りがある場合は対象となります。)
3.引き続き利用されるもの。
4.大規模な事業者が所有権等の権利を有しないもの。(資本金の額又は出資の総額が3億円以下、又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人が所有する建築物が対象となります。)
5.アスベスト含有調査・除去等に関し、この要綱以外の補助金を受けていないこと。
6.敷地内において、この要綱に基づく補助金を受けていないこと。
補助額
アスベスト含有調査:費用の全額 ただし、調査箇所が1か所調査の場合は15万円、複数か所の場合は25万円が上限
アスベスト除去工事:費用の2/3 ただし、300万円が上限
必要な書類
案内図
配置図
平面図(吹付け材施工範囲を表示)
現況写真(建物外観及び吹付け材の施工部分)
従業員数又は資本金等が確認できる書類(法人の履歴事項全部証明書等の写し)
分析調査結果報告書
検査済証の写し又は明らかに建築基準法違反でないことを確認できる書類
申請方法の詳細
飛散のおそれの高い建築材料である「吹付けアスベスト」及び「アスベスト含有吹付けロックウール」だけが対象となります。
オンライン手続きも可能です。
来庁せずに手続きができるよう、郵送による申請も受け付けています。
期間
令和6年度 実施
(建築指導課の窓口が令和6年1月22日で本庁舎18階へ移転するので来庁する方はお気を付けください。)
連絡先
川崎市まちづくり局指導部建築指導課建築安全担当 電話: 044-200-2757
相模原市
補助要件
含有調査:吹付けアスベスト・アスベスト含有吹付けロックウールが含まれているおそれのある建材
除去工事:吹付けアスベスト・アスベスト含有吹付けロックウール
ただし、次のものは対象外となります。
共同住宅の賃貸等事業の用に供する部分
店舗併用住宅などの住宅でない部分
アスベスト含有仕上塗材、アスベスト成型板
補助額
詳しくは下記の連絡先にお問い合わせください。(相模原市の予算の範囲内です。)
必要な書類
補助金交付申請書
上記の書類のほか、追加の書類が必要になる場合があります。
申請方法の詳細
補助金交付申請は、同一建築物のアスベスト含有調査またはアスベスト除去工事についてそれぞれ1回が限度です。
期間
令和6年度未定
連絡先
相模原市住宅課 電話:042-769-9817(住宅政策班)
その他の地域
対象市町村
逗子市、三浦市、伊勢原市、海老名市、座間市、南足柄市、綾瀬市、葉山町、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町、愛川町、清川村
補助要件
平成元年以前に建築確認を得て着工された、アスベストを含有しているおそれのある吹付け材が施工されている
(1) 不特定多数の方が利用する延べ面積300平方メートル以上1000平方メートル未満の建築物
(2) エレベーターがある建築物(エレベーターの昇降路及び機械室の部分に限る)
のいずれかに該当し、これまでアスベスト含有調査を実施していない民間建築物
補助額
補助限度額は一棟当たり25万円
ただし、含有調査を一検体のみ行う場合の限度額は16万円
必要な書類
案内図・配置図・平面図等の図面
現況写真(外観・吹付け建材の状況がわかるもの等)
所有権を証する書類(登記事項証明書等)
確認済証の写し(台帳記載事項証明書でも可)
調査者の資格者証の写し
見積書の写し
申請方法の詳細
申請したい方は、事前相談書を作成し必要資料を添付の上、事前相談に向かってください。
期間
令和6年度未定
連絡先
県土整備局 建築住宅部建築安全課 建築安全グループ 電話:045-210-6257
まとめ
本記事では、アスベスト除去工事に対して自治体から支給される補助金制度をまとめました。
アスベストは飛散防止のため専門業者への依頼が必要で、そうなると解体費用は個人では大変な負担になってしまいます。
解体コストの一部を補填する形で多くの補助金制度が用意されているので、該当する補助金制度があるかぜひチェックしてみてください。
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